ゴルフ・アナウンサーの仕事

ゴルフに入れ込んで27年。嵩じてついには大学を辞め、ゴルフの伝え手たらんと意を決して渡米、はや17年。ゴルフは言葉のスポーツだと確信する一方、言葉では伝わらないのではないかという思いもあり。

・・・・ゴルフは言葉のスポーツ

TVでのトーナメント実況中継の仕事は22年め。生放送でしゃべることの奥義を究めたいと願ってきました。「何を言うのか」とともに「いつ黙るべきか」「何を言わないべきか」ということの重要さを感じながら。

・・・・「あわや、ホールインワン!」・・・・えっ!?

言わないほうがいいことも、言えないこともある。言おうとすることで真実が見えなくなるという認知心理学の知見を耳にするにいたっては、「黙ることで伝わることもある」という心細い金言にすがるばかり。

・・・・言うは難く、行うも・・・言語隠蔽効果

一方でトーナメント中継放送はジャズの即興セッションのごとく、構成要素であるひとつひとつのフレーズの良し悪しだけでなく一緒にしゃべる相方とのやりとりが妙を生んで、数時間にもわたる楽しさにつながるのでしょう。

・・・・いつも心に音楽を:パッティングにはジャズが効く!?

ある一言のきらめき。小気味よいやりとり、心地よい間と合いの手。仕込んでおくネタの良し悪しは、私と相方の捌き方で変わる。隠れていた真実が偶然のように飛び出してくることもある。思いもよらない展開やスピード感、抑揚と緩急の快適なつながりが視聴者を長時間つなぎとめてくれるはずなのだが、主役の映像次第でもあり、うまく回ることはめったにない・・・。

ま、ゴルフは愉快でなければならない。だから私が苦しんでいるようじゃ伝わるものも伝わらない。というわけで、私はきょうも願い、祈り、開き直って放送ブースに向かうのであります。

・・・・“エンジョイ”するとゴルフは楽しい?!

by Naoyuki Komatsu, 2019

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