いつでも雨が好きだった。春先のまだ冷たい雨が土を湿らせるひそやかな気配。湿った匂い。煙るような梅雨時の街。柔らかな雫。夏の土砂降りの街角。アスファルトに跳ねる白い雨脚。通り過ぎた車の轍に戻る暖かそうな水たまり。
物悲しさも濡れる煩わしさも、やるせない気分さえも嫌じゃなかった。雨上がりのこざっぱりした街と青空を見たいからなのか。待つことが好きだから? それとも雨を言い訳に何かから逃げることができるからだろうか。
夜明け前、ささやくように屋根を濡らす雨に気づいて、ひんやりした枕に顔をうずめ直してもう少し眠ろうとするときの幸せを、あとどれくらい味わうことができるだろう。やがて朝は来て、雨はいつか上がってしまう。
”Mr.能天気”がお送りする70年代お天気シリーズ
① 雨に降られて(1976) https://youtu.be/C6KKZUlJcYg
② きっと晴れて(1979) https://youtu.be/kQ8QMYoFRww
③ 雨が冷たくても(1980) https://youtu.be/18U3bA6AENk
④ 朝の雨(1982) https://youtu.be/Q6ft6BXtixM
⑤ 君は心の天気予報(1981) https://youtu.be/Oap2o2sTQgM
⑥ 5月の半ば夕暮れに(1976) https://youtu.be/qjeU3U_3zlU
⑦ 雪子(1976) https://youtu.be/ArsIZcKLZYU
⑧ 遠い街から(1980) https://youtu.be/e-dBYcRy9eQ