もう13年も前なのかと、ライブフロム明けにメイクを落としながら鏡の中の自分を眺めてしまった。2017年ザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップの二日目、54歳のヴィジェイ・シンが抜群のスタートを見せていて、私はかつてワクワクしながら米ツアーを追っていた頃を思い出していた。タイガー・ウッズが圧倒的な強さでワールドランキング・ナンバーワンに君臨していた。出場する試合は少なかったが出て来れば優勝争いで、勝つことの方が多かった印象があるほど強かった。
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その頃のタイガーのライバルはアーニー・エルスやヴィジェイ・シンで、とくにヴィジェイ・シンは出場試合数も多く、試合中も遅くまで練習するので、キャディーが嫌っていると噂されるほどだった。
シンは2004年に年間9勝を挙げた。41歳でウッズをしのぐ強さを見せた。秋にはドイツ銀行チャンピオンシップで勝って、ついにワールドランンキング1位の座についた。90年代にはデヴィッド・デュヴァルとエルスが1位になっているが、ウッズの全盛期にウッズを引き摺り下ろしたのはシンだけだった。ウッズがいま、41歳なのかと思うと、あのときのシンは本当にすごかったのだとあらためて思える。
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その年のノートを持ち出してめくっていたら、「スーパー・プレーヤーを衝き動かす原動力は何なのか」と出したページに次のような文章を私は書いていた。
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タイガー・ウッズ:2004年の暮れ、結婚したタイガー・ウッズが米NBCテレビの“Today”ショーに出演して、新婚生活についてちょっぴり語る。オーランドの自宅にいるときはほぼ毎日、エリンさんとゴルフをしているそうだ(彼女は90台で回るとのこと)。V・シンに抜かれたワールドランキングでもう一度頂点に立つことが動機付けになるのではなく、自分は試合に勝ちたいのだと言った。
スーパースターを駆り立てるものは案外、単純で素朴なのだろう。だからこそ強力なのだろうが、しかしタイガーのもっとも真剣なまなざしでのコメントは、自分の財団を通じて子どもたちに影響を与えたい、という部分だった。
「試合で勝つことよりもそれは満足感を与えてくれるものです。私はそのことによって人々に記憶される人物でありたい。トーナメントの優勝は私自身の喜び、個人的な満足のためのもの。しかし、子どもたちのためにすることで得られる満足感は、まったくそれを上回るものだと断言できます」
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ヴィージェイ・シン:2004年に9回勝ってタイガーを引き下ろし、世界No.1になったV・シンがハワイで言っていたことは、自分を見つめる者の座右の銘か。ゴルフはつねに振り出しに戻るゲームだが、そうであろうとなかろうと、努力するしかないのだ。
「私が今年やったようなことを、ある朝、目が覚めたときまたやれると思える、なんてことはあり得ないんだよ。それは積み重ねていってそうなったというものだ。1勝したら、また次の1勝だ。そうしていくうちにだんだんと気持ちも上向いて、自信も深まっていく。でも、また次のホールでは上手くプレイするしかない。そうやって、やってきたんだ」
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