ゴルフチャンネルに勤め始めてから2、3年目頃だったと思う。私一人でオーディオブースで原稿を書いていると、いきなりパーマーさんが「コニチワ!」と言いながら入ってきて、握手をしてくれた。いつものようにきれいなブルーのシャツに白いカーディガンを着ていた。ブルーとかピンクのシャツを着せたら、これほど似合う人は他にいないのではないかと思った。多分、部分改修をした社屋を見に来ていたんだと思うが、「シャチョー、アリガートー」なんて言うので私は面食らってロクな会話ができなかったが、声をかけてもらえて嬉しかった。その後2度、話す機会もあったが、私は自分が幸運だと感じた。パーマーは父のアイドルだったし、私が渡米して彼の作った会社に勤め、私の子どもも3人がパーマーの名を冠した産院で生まれたのだから、多少の縁を感じてもいいかもしれない。
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9月25日の遅い午後に、パーマーさんは87歳で亡くなった。ちょうどライダーカップの週で、アメリカが8年ぶり4大会ぶりに欧州に勝った。フィル・ミケルソンが「パーマーを讃える一番の方法は、彼のように振舞おうと努力することだ」と言っていたので、ミケルソンを少し見直した。ローリー・マクロイも同じようなことを言っていた。プロたちが「自分もそうありたい」と思えるモデルは、そういないのだろう。がんばって欲しい。でも、表面的な真似だけじゃダメだろうし、そういうのはすぐバレる。
私が一番好きなのは、パーマーが子どもたちにサインしてあげてる光景だった。パーマーが、誰でも読めるように丁寧な書体でサインをすることは有名だが、ある時、小さな男の子にこう話しかけていた。
「前歯が2本抜けて、どこに行っちゃったのか、わからないのかい?」
うまく言えないが、つねにそういう優しい視線を持ち続けているのは、難しいことだと思うと、泣けてしまう。R.I.P