ゴルフ振興策の世界的トレンド

Embed from Getty Images

 

一国のゴルフ政策と呼べるものがあるとすれば、世界の動向には2つのトレンドがある。

ひとつは旧来的枠組みの「オープン化」だ。すべての国内競技会でプロとアマチュアの区別を取払ったのはスウェーデン。80年代初めに国内統轄団体の協調の下、ハンディーキャップ制限さえクリアすれば誰でも出場できる仕組みを導入し、いまや人口あたりのトッププロ輩出力が世界で群を抜くゴルフ強国となった。ニュージーランドや中国もそれに倣って国際競技力向上を目指しており、近年では性別不問という流れも出てきている。

「クラブの開放」も試みられ、お金持ちのスポーツというイメージの払拭にもつながっている。イタリアでは国内280コースのほとんどが高額入会金を要するプライベートクラブだが、ゴルフ連盟に1万円ほどの費用(未成年は約3千円)で登録して連盟会員になると特別料金でプレイできるという制度が7年前に導入され、参加人口の伸びは2倍以上になった。クラブの会員減少に悩んでいたスコットランドは小学校を巻き込んでいる。教師が児童に学校でゴルフを教え、そこから地域のクラブに引き継いでいくという施策を政府主導で展開し、この10年で顕著な底辺拡大を見た。タレント発掘にも奏功し、次段階のエリート養成プログラムが先頃始まった。

 

Embed from Getty Images

 

もうひとつは「ツアープロ支援」である。アイルランド政府は15年前にティームアイルランド・ゴルフトラストという信託組織を設立し、国際舞台を目指す新人プロに最高額で年間300万円の資金を提供している。発足から10年間の累積供与額は230万ユーロ(約3億2千万円)に及んだ。一方、オランダでは国税利用でなく株式化して国民有志の分担方式とした。2005年に100ユーロ株を2820人、1万ユーロ株を175人に売り、できれば配当付きで10年後に払い戻す条件で約200万ユーロ(約2億8千万円)を調達した。それを元手に、若手プロが競技に専念できるよう、試合に出る諸手配を代行し、交通、宿泊、キャディー費等の全経費を融資という形で負担する。プレイヤーは3年契約で、最長7年。獲得賞金やその他の収入はいったん共用口座に入れられ、契約終了時に融資分が差し引かれる。

この30年間、スポーツは先駆けとなり象徴となって、社会を変える力を支えてきた。2年後、6年後に五輪競技となるゴルフには、これから何ができるだろうか。

 

(2014年9月18日毎日新聞夕刊掲載)

コメントを残す