進むプロゴルフの グローバルツアー化

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日曜日、中東ドバイでの欧州ツアー最終戦ではスウェーデンのヘンリク・ステンソンが優勝し、今季の賞金王となった。米国ツアーの賞金王はタイガー・ウッズだが、ステンソンはアメリカでも一連の王者決定戦でウッズを抑えて勝ち抜き、世界最高額の賞金を別枠で勝ち取っている。晴れ晴れとした笑顔には、実質的に世界の頂点を極めた満足感があふれていた。

米欧同時賞金王という快挙も一昨年、ルーク・ドナルド(イングランド)によって史上初めて達成され、去年のローリー・マクロイ(北アイルランド)が続いた。従来はあり得なかった2大ツアー制覇の偉業が3年連続で実現した背景には、米欧共催の高額賞金試合の増加と米ツアーによる欧州選手取り込み戦略がある。しかし大局は、世界のプロゴルフの地殻変動ともいうべき国際化だ。

従来とは逆方向の人材移動が起きている。アメリカの若手がプロ転向後のキャリアを欧ツアーでスタートする例は、かつてはほとんど見られなかったが、この2年で増え、すでに優勝を重ねる活躍を示している。これまで海外に出る例の少なかった米選手を含め、世界を股にかけて活動することを厭わないプレイヤーは増えている。

 

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同時に、プロゴルフの地理的枠組みが取り払われ始めている。米ツアーは4年前から試していたアジアでの2試合を今年は公式戦に組み込んだ。加えて、中国ゴルフ協会との提携のもとに「PGAツアー・チャイナ」を創設し、2014年は賞金総額20万ドル規模の試合を中国国内で12試合開催。海外プレイヤーにも門戸を開き、総合成績上位者には米ツアーの下部組織であるウエッブドットコムツアーの出場権を与えると発表した。

すでに去年、既存のカナダツアーとラテンアメリカツアーを傘下に収めて第3部に設定する3層構造を打ち出している米ツアーにとって、強いプレイヤーを吸い上げる基盤整備が大きく進む。欧州で先にそれを実現している欧ツアーが90年代からアジアに進出しているが、先月、米ツアーコミッショナーは欧ツアーそのものを買収する可能性すらほのめかした。

世界四大大会の一つ、全米プロ選手権を主催するPGAオブ・アメリカは先週、海外開催も視野に入れると発表。早くも候補地に北アイルランドのロイヤルポートラッシュGCの名が挙がった。アメリカのグローバリズム転換で、プロゴルフの世界的構造変革が始まる。

(2013年11月21日付毎日新聞夕刊掲載)

 

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*プロゴルフ世界主義

アメリカの覇権主義とは言い切れない国際化が、これから数年のうちにプロゴルフの世界的構造をどう変えるのか。すでに超越的存在に見える世界ランキングNo.1タイガー・ウッズは、トルコでの欧ツアー公式戦に出場した際、「私は自分の出たい時、出たい試合に出る」と言った。その試合の主催者トルコ・ゴルフ協会はウッズに300万ドルの出場料を支払ったと伝えられる。従来のツアーの枠組みがどう変わるのかは、たいへん興味深いところ。世界規模の大きなツアーができるのか、既存ツアーはそのまま存続しながらも、プレイヤーが自由に参加できる仕組みになるのか・・・・。

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