老いぼれちまわないうちに早く打てよ!

“While we’re young!(老いぼれちまわないうちに早く打てよ!)”

全米ゴルフ協会が5月から始めたスロープレイ対策としての啓発キャンペーンの標語である。映画『キャディーシャック(1980年)』ファンならすぐにピンと来るはずだが、コメディアンのロドニー・デンジャーフィールド演じる成金アル・ザーヴィックが、1番ティーで構えてからモジモジとしてなかなか打たない仇敵スメイル判事に投げた言葉だ。

 

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映画を知らないで聞かされたら、少しトゲがあるように感じる人もいるだろうと心配してしまう。「わかりやすく、少し笑えて親しみやすい標語がいいと思った」とはネイガー会長の弁だ。公開時にはスポーツ物の快作としてゴルフファンのみならず幅広い人気を得たこの映画は、いまも米国ゴルフの文化的背景にあるということなのだろう。

身近なコースでプレイした後はさっさと家に帰って家族や友人と別の活動を楽しむ、あるいは仕事の前や後に1ラウンドする、というスタイルがアメリカでは可能だ。だから、18ホールを回るのに5時間もかかるならゴルフをする気がなくなるという愚痴もよく聞く。全米ゴルフ協会はそれを深刻に受けとめ、何がプレイを遅くさせるかということの研究に取り組んでいる。

コースの全長、グリーンから次のティーまでの所要時間、ハザードの位置と総数といった設計面での要素や、グリーンの速さ、ホールの位置、ラフの位置と深さ、スタート時間の間隔など管理運営上の設定がプレイの進行速度にどのように影響するかを分析し、プレイ進行速度の動的モデル構築が目指される。協会はプレイ進行速度について個々のコースを評価する方法を1993年に考案しているが、これに経済的利点、環境保護的観点からの提案も含めた新たなプログラムの提供を計画している。

プレイヤーに対しては、時短につながるマッチプレイや二人で交互に打つフォーサム、ステーブルフォード方式、さらには9ホールで終わりにする楽しみ方を推奨していることに加えて、かなり踏み込んだ提案もしているのが興味深い。ある打数に達したらそのホールのプレイを打ち切るという方法だ。ハンディーキャップ算定で用いられるホールの最大打数を援用して、たとえばハンデが10から19の者なら7打に達してしまったら球を拾い上げるというもの。なってこった。とりあえず練習場へ行こう。

(2013年7月4日付毎日新聞夕刊掲載)

 

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