手作りから五輪へ:インドの目標は2020年

 

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インドの最大都市ムンバイで、スラムに住む若者が自作のクラブでプラスティック製の球を打っている。コースは街路や住居の屋根の上、廃墟ビルや道路の高架下だ。本来のゴルフルールに則り、優勝賞金100ルピー(約170円)をかけて、最後は地面に掘ったくぼみに球を落とし込む。 何人かは、キャディーとして近隣のゴルフクラブで働いて週4千ルピーを稼ぐ。彼らが手作りトーナメントに投影するのは一攫千金のプロゴルフへの夢だ。

昨年の国際報道写真コンテストで3位になったポーランド人写真家トーマス・グゾバテの受賞作「インドの都市ゴルフ」と題された12葉のモノクロ写真が捉えたのは、この国のゴルフの位置が大きくシフトする予兆だろう。ついしばらく前までクリケットだったストリート・スポーツにゴルフが加わった。

スコットランドの貿易商によってロイヤル・カルカッタGCが設立されたのは1829年。 インドは世界のゴルフ史において、英国以外で最古の歴史をもつが、ゴルフが国民のスポーツになるのはこれからだ。インド・ゴルフ同盟によるとゴルファー人口は10万人。同盟への新規登録者は年に6百人で、この数字は10年前の4倍だという。近年、アジアツアー、欧州ツアーの公式戦開催も増えており、ゴルフに接する人々の数は着実に増加している。いまや3億人と言われる中流層は用具メーカーにとって大きな潜在市場だ。コース数は過去10年で25%増加し、約50箇所で建設中。現時点で230コース。うち130以上が国軍基地内にある。2つしかないパブリックコースのグリーンフィーは250ルピーだが、一般に門戸開放されるようになってきているプライベートコースでは5千ルピー。中流層の平均所得は月額2万ルピーだから、ゴルフはまだ高額な遊びだ。

 

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高等教育が世界に名高いインドの大学生人口は460万人。日本の286万人を遥かに上回る。同盟では、大学での履修科目にゴルフを組み入れる提案をしている。各都市に練習場建設の動きもあり、基地内コースの一般利用も認められた。ただ、指導者養成はこれからで、5年後の五輪ゴルフ再開には間に合わないだろうと同盟関係者は言う。

(2011年8月25日付毎日新聞夕刊掲載)

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