フットゴルフ

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ゴルフコースに行って、ティーインググラウンドに公式サイズのサッカーボールを置き、フェアウェーへ力一杯に蹴り出す。

最初の「ティーキック」はインステップで距離を出したいところだ。

止まった場所から、小川や池、バンカーを避け、ブッシュや林に入れないようにしながら、起伏に満ちたコースを戦略的に攻める。

ときにはボールの回転を操作してカーブするように蹴ることも必要になる。傾斜を使って転がすことはサッカーにない要素だ。

「ゴール」は旗竿の立てられた直径53cmの穴。出来るだけ少ない回数のキックで落とし込むことを競う。

もちろん、ハンドは反則。蹴れない状況にしてしまったら、「一蹴り」のペナルティーを支払って2歩以内の地点に置くなどの救済を受けられる。

ルールはほぼゴルフと同じ。76ヤードのパー2、185ヤードのパー5、390ヤードのパー7といったように設定された18ホールのスコアをカードに記入して行く。アンダーパーやホールインワンを狙い、同伴競技者とのマッチプレイも楽しめる。

動のサッカーが静のゴルフに融合した「フットゴルフ」を、誰がいつ始めたのかは不明だ。何かの縁なのか、ゴルフ発祥の地と目されるオランダにフットゴルフ協会が設立され、ナイメーヘンで初のオープン選手権が開催されたのは2009年。今年6月には初めてのワールドカップがハンガリーで開催され、8か国から77名の選手が集まった。

サッカー選手たちが練習の一貫として、あるいは戯れにゴルフ的ゲームに興じることは耳新しいことではないが、ゴルフコースを使って本格的にやろうというのは新しい潮流である。

サッカーの盛んな南米ではじわじわと普及する気配。とくに、ゴルフ参加が伸び悩んでいるアルゼンチンでは、既存コースが維持費を賄うだけの収入をあげられない状況もあって、ゴルファーの少ない週半ばにフットゴルフのトーナメントを開催して新たな収入源にすべく期待している様子だ。

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ボールを蹴る喜びがある。ケガは少ない。引退したサッカー選手には好評だそうだが、飛距離に応じたハンディーキャップも設定できるので誰でも一緒に競い合える。「ゴルフとの競合ではなく、新しい楽しみ方を付け加えたい」と、アルゼンチン・フットゴルフ協会のハビエル・デ・アンシザール会長は言う。

(2012年11月29日付毎日新聞夕刊掲載)

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