2008年11月末のオーストラリアン・マスターズで、37歳のロバート・アレンビーは、母の目の前で勝ちたかった。母シルビアさんは数ヶ月前に末期がんと診断され、緩和ケアを受けるなかで、普段はアメリカでプレイしている息子の、地元での試合を見に来ていた。トップで最終日を迎え、優勝争いの中で1打差を追う展開となって15番ホールに来たアレンビーは、カートに乗って出て来たシルビアさんを見つけた。それはあらかじめ家族で計画されていたことだったが、その15番パー3で、アレンビーはティーショットをバンカーに入れた。バンカープレイは得意なほうではなかったが、脱出に3打を要し、少しよろめくようにグリーンへ上がった。パットは一度で決めたが、もはや勝てる望みはなくなった。しばし周囲の目を避けるようにしていたあと、アレンビーは16番のティーショットを放ち、そこでシルビアさんのカートまで行って、シルビアさんを抱きしめた。残りホールでパーを重ね、結局3打差の3位に終わった。シルビアさんは年が明けて他界した。アレンビーは試合に出続けている。