「慌てなさんな。人生はじっくり楽しめるから」とヒメネスは言った

 

日本で言えば中学生の年齢の子どもたちがプロの試合に出てくることは、欧米でも昔から論議を呼んで来た。学業優先の時期に出場させるべきではないという意見。子どもを客寄せのために使うことになってしまうのは許されないという意見。一方で、ずば抜けた才能をもつ子どもには最高の競技レベルでプレイをさせるべきだという意見。同年齢の子どもたちの関心を喚起してゴルフ振興につながることはよいことだという意見。ミッシャル・ウィーのときもそうだった。結論は出ないまま、最終的には親の態度次第ではないかということになる話だ。問題視されるのは、親が我が子の可能性に入れ込んで半強制的に、あるいは当人の意思を尊重するという大義名分で半ば思考停止して、過剰かもしれない練習や競技に参加させるというケースだ。しかし、からだの発育発達に障害が起きない限り、ゴルフをしていなければその子はどうなっているかという具体的なイメージがし難いので問題は掴みにくい。その子にとってゴルフのために費やされる時間は取り返しがつかない損失につながるかもしれないし、あるいは、代え難い経験として、その後の人間的な成長を促す大きな要因となるかもしれない。確かなのは子どもの問題は親の問題そのものであるということだけだ。

「ゴルフが年齢にかかわらず多くの人々を引きつけているのはいいとして、13歳でプロと戦うというのは少しばかり若すぎると私は思う」

ミゲル・アンヘル・ヒメネスはイエ・ウォーチュンの参戦(2013年9月ヨーロピアンマスターズ)を疑問視しているとAP通信が伝えていた。

「みんな、何事もあまりに早い時期に始めようとしすぎるんだよ。13歳の子はほかの13歳の子どもたちと一緒にプレイすればいいんだ、平均年齢33歳のプレイヤーたちとではなくね」

「スポンサーにとって宣伝効果が欲しいのはわかる。だからといって、弱年の子どもたちを引っ張りださなくてはいけないだろうか。悪いけど、それは許されることではないよ」

「彼の年齢の子どもには、あまりがんばらせ過ぎない方がいい。その後のキャリアを壊してしまいかねない。今週、彼が楽しんでやってくれることを望むが、今朝、練習場で球を打ってる彼を見かけた時、とてもナーバスになっているように見えた。そんな状態に置かれるべきではないんだ。」

スポンサーを批判することはできないというプロは多いだろうが、あえて声を出したヒメネスの思いを感じずにはいられない。

それにしても、年が明ければ50歳になるヒメネスには期待してしまう。去年のクリスマスにスキーで転倒して脛骨骨折の大けがを負ったが、リハビリの末に復帰してすぐに大舞台で優勝争いを演じた。キャリア19勝のうち12勝は40歳を越えてからのもので、去年の香港オープンではツアー最年長優勝記録を作った。遅咲きという言い方はあるが、18歳でキャディーからプロになり、初めてQスクールを突破して欧ツアーで戦い始めた25歳の年以来、この25年間を一年ずつ味わってきた結果、そうなっているということなのだろう。

ヒメネスは今週のヨーロピアンマスターズに毎年欠かさず出場し続けていて、トップテンも10回、2位も2度、そして22年目の2010年に優勝。初めて来た年から泊まっているル・ミエッゾ・ホテルはいまではアパートになっているが、オーナー夫妻と付き合いは続き、今年もそこの“いつもの部屋”に滞在する。

「バルコニーからの谷の長めは凄いんだ。お気に入りのレストランはラ・マルキーズだな。主人のアントニオを“エビの王様”って呼んでる。かみさんのジゼルの出してくれるスペイン料理もうまいぜ」

25年目の今週も順位にかかわらず、夜にはワインを片手に「いまという時間を楽しんで味わう」ヒメネスの姿があることだろう。

<資料>

1)http://espn.go.com/golf/story/_/id/9634328/miguel-angel-jimenez-criticizes-european-tour-extending-invite-13-year-old

2)http://www.europeantour.com/europeantour/season=2013/tournamentid=2013070/news/newsid=204167.html

 

【今週の言葉】

「人生は、そのときそのときを生きることだと私は信じている。この試合もそうだ。私にはいつでも今週こそがゴールだ」

——ミゲル・アンヘル・ヒメネス

 

2010年にフランスオープンで勝ったときのコメントだが、90年代半ばからヒメネスを見てきた私は、同じ言葉を何度も彼から聞いている。ライダーカップのあった2010年は年間3勝。春先にドバイで勝っての2勝目だったので、ライダーカップ出場やメジャー優勝についての質問が記者たちから寄せられた。長期的目標というのはあってその準備はするが、と言ってからこう答えた。

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