「カット落ち」という言葉を、私が中継の中で使っているのをお気づきの方もいらっしゃるでしょう。
4ラウンドのトーナメントでの「予選ラウンド、決勝ラウンド」という言い方に、どうも違和感があるんですね。間違いがあるわけではないし、日本では慣例的に使われているので、「予選ラウンド、決勝ラウンド」という言い方をしても支障はないと思いますが、ゴルフ専門局のゴルフ専門アナウンサーとしては、ためらってしまいます。いまや試合の4ラウンドはそれ自体が「本戦」ではないかと・・・・。
4ラウンドの初めの2ラウンドには、優勝争いに加われるかどうか、プロの場合は賞金がもらえるかどうかがかかっているわけだし、伝え手としては4日間の戦いに抑揚をつけたいという気持ちもあるし、固有の名前で呼びたいところです。でも、とくに固有の名称はつけられておらず、英語でもせいぜいアーリーラウンド(early rounds)といわれるばかり。ほかに言いようがないと感じられて「予選ラウンド」となったのでしょうね。
日本語の醍醐味である“省略”という事情もありますが、マッチプレイの予選ラウンドや、各国のナショナル・オープンのように「予選」のある試合もあって、それに言及することも多い以上、「予選ラウンド」を省略して「予選」というわけには行かない。「予選ラウンド落ち」をはしょって「予選落ち」と言うとなると、本戦であるそのトーナメントに出られなかったプレイヤーというイメージが浮かんできていまいます。
少なくとも「予選落ち」は使わないようにしたいと感じて、私は苦しまぎれに英語のハーフウエイ・カット(half-way cut)を持ち出している次第。ハーフウエイは72ホール競技の36ホール時点という意味。カットは、ある基準以下を切り捨てるという意味で使うので、「カットが行われる」、「あのプレイヤーはカットになった」、「カット(ライン)は2アンダーだった」という言い方ができることから、いわば和英折衷の「カット落ち」という表現を試みているわけであります。
これも日本語だけで行くとなると、たとえば「切捨て」、あるいは、前世紀の日本で使われて、すぐに無神経だと気がついて使われなくなった「足きり」という言葉がありますが、語感の冷たさはいかんともしがたい。こういうときに英語を借用するのは便利で、英語が我々日本人にとって不可欠ではない言語だからでしょうか、ぼやかして使えるというか、オブラートのように現実の過酷さを包んでしまえるような効用がありますね。プレイオフの「サドンデス」なんかも、いい例です。日本人にとって英語、もしくはカタカナ語というのは、言葉そのものの意味を深刻に受け止めさせない効果があるのでしょうか・・・。