プロゴルフはプレイヤーが自分の競技力を換金する仕組みだが、駆け出しの若手や、潜在力の開花を待っているプロたちにとってはとても厳しい世界だ。まず資本金が要る。試合に出るには、下部ツアーでさえ10万円を下らない経費がかかり、週末の決勝に進まないと一銭の収入にもならない。安定した成績が出せないと一年で職場を失うことにもなる。
彼らをサポートするのは素封家の趣味かもしれないが、一般ファンにも可能な支援法がある。彼らの競技力は、投資する価値のある「株」なのである。
ティーチングプロの資格をもつイングランドの37歳、アンドルー・バターフィールドは、去年、欧州2部ツアーで戦うにあたって、ゴルファーとしての自分を株式に見立て、一株500ポンドで40株を売った。日本円なら合計で320万円ほどになるが、それを資金に試合に出て、獲得賞金の5割を株主に配当し、累積が引受価額に達したあとは1割配当という約束をした。去年は約245万円しか稼げなかったが、今年は優勝を含めトップテンに6度入り、約1,400万円を稼ぎだしている。
この方式を国レベルで採用しているのは、オランダ・ゴルフ連盟の肝いりで2005年に発足した「ゴルフ・ティーム・オランダ」。10年後に、できれば配当付きで払い戻す条件で、100ユーロ株を2,820人に、1万ユーロ株を175人に売り、約200万ユーロ(約2億7千万円)を調達した。それを元手に、若手プロが競技に専念できるよう、試合に出る諸手配を代行し、交通、宿泊、キャディー費等の全経費を融資という形で負担する。プレイヤーが得る賞金やその他の収入はいったん共用口座に入れられ、融資分はその者の契約終了時に差し引かれる。
今年度9名のメンバーには、欧州ツアーまたはその2部ツアーの年間出場権を有する者、内外の主要なアマチュア選手権優勝者、あるいはオランダ五輪委員会の特別承認、などの資格条件があり、3年契約で、最長7年が限度。オランダ銀行をはじめ企業スポンサー5社もついている。
国民にとってスポーツが、見返りを必要としない夢であることをふまえた「国策」といえるだろう。
(2009年10月1日付毎日新聞夕刊掲載)